診療予約
ザ・病気

鉄欠乏性貧血

酸素を体中の組織に運ぶ役目をしているのは、赤血球の中に含まれるヘモグロビン(Hb)というたんぱく質です。このたんぱく質をつくるには鉄が必要ですが、鉄が不足するとHbが減り、赤血球が小さく、色が薄くなります。

顔色がレモン色がかった蒼白色となり、疲れやすい、運動時の息切れ、動悸、頭痛、食欲不振、風邪をひきやすいなどの徴候がみられます。重症になると成長障害や心不全を引き起こします。主な原因は食事や下痢などの問題で鉄の吸収が不足すること、慢性的な出血により鉄を失うこと、また感染症で体内の鉄需要が増えることです。乳児期や思春期、身体が急激な成長を遂げる時期は鉄の需要が増えるため、生理的に貧血になりやすいのです。

生後6ケ月を過ぎると母乳やミルクに含まれる鉄が多くないために、幼児期は好き嫌いから、なお「牛乳貧血」といって、牛乳を摂り過ぎると鉄の吸収を妨げます。思春期以後は女性は生理による出血のため、また激しい運動をするスポーツ選手も要注意です。思春期の女性は成人男性に比べて2~2,5倍、妊娠中は3倍の鉄分摂取が必要です。

貧血の診断は、血液検査でHb値や赤血球の大きさや色の濃さから、また血清鉄や体内に貯蔵されている鉄(フエリチン)の値で行うことができます。治療は食事療法や鉄剤の内服になりますが、貧血(Hb値)がよくなっても、体内の貯蔵鉄が十分補われるまでには3ケ月くらいの治療が必要です。慢性の失血や感染症など、ほかに原因があれば、そちらの検査や治療も同時に行わなければすぐに再発しますので、治療終了後も経過を追っていくことが大切です。