ザ・病気
B型肝炎とワクチン
B型肝炎は、B型肝炎ウイルスの感染により、肝機能障害を起こす病気です。キャリアである母親の子宮や産道で感染する垂直感染と、周囲の感染者やキャリアの血液や体液(汗、涙、唾液など)を介して感染する水平感染の2種類があります。
急性期には、不顕性感染と言ってほとんど何も自覚症状がなく抗体ができて治ってしまう経過だったり、生命にかかわる劇症肝炎だったり、人により、ウイルスのタイプにより様々です。感染した後に抗体ができているにもかかわらず、ウイルスが肝臓に住みついている状態をキャリアといい、3~4歳以下の子どもがなりやすいです。
さらにキャリア化した人の約1割が慢性肝炎となりますが、子どもはどちらの状態でもほとんど症状なく、血液検査をしないとわかりません。慢性肝炎の状態が続くと肝細胞が破壊されて肝機能が大きく低下し硬くなっていきます(肝硬変)。また肝がんへと進行する可能性が高いです。
日本では、キャリアである母親から産まれた赤ちゃんには約30年前からワクチンが始まり、垂直感染は激減しましたが、2013年時点でのB型肝炎持続感染者は130~150万人(100人に1人)です。近年、父親や祖父からの感染、保育園など集団保育の場での感染、また成人での性感染症などが問題になっており、このような水平感染を防ぐためにすべての赤ちゃんにワクチンを、という世界のワクチンレベルに日本もやっとおいついてきたところです。生後2ヶ月から始める3回接種の不活化ワクチンです。副作用はほとんどありません。1歳以上のお子さんは任意接種の取り扱いではありますが、この機会にできるだけ早めに、B型肝炎ワクチンをうけましょう。